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固定資産と減価償却の関係をわかりやすく解説

会計

企業や個人事業主が事業活動を行ううえで欠かせないものの一つに「固定資産」があります。そして、その固定資産と密接な関係にあるのが「減価償却」です。

これらは経理や税務の基礎として知っておくべき重要な概念ですが、初めて学ぶ人には少し分かりにくいと感じられるかもしれません。

本記事では、「固定資産とは何か?」から始まり、「減価償却とはどういうものか?」「両者の関係性」「実務上の注意点」まで、できるだけわかりやすく、実例も交えながら解説していきます。


固定資産とは?

まずは「固定資産」の定義を確認しておきましょう。

● 固定資産の基本的な意味

固定資産とは、1年以上にわたって事業に使用する目的で保有する資産のことを指します。これは「流動資産」(現金や売掛金、在庫など、1年以内に現金化・費消される資産)と対になる概念です。

● 固定資産の具体例

固定資産にはいくつかの種類がありますが、代表的なものを挙げてみましょう。

  • 有形固定資産:建物、機械、車両、工具、土地など、物理的な形を持つ資産。
  • 無形固定資産:特許権、商標権、ソフトウェア、のれんなど、形のない資産。
  • 投資その他の資産:長期保有を前提とした株式、不動産など。

なお、土地は原則として価値が減らない(むしろ上がる可能性もある)とされるため、減価償却の対象にはなりません。


減価償却とは?

次に、「減価償却」とは何かを説明します。

● 減価償却の基本的な考え方

減価償却とは、固定資産の取得にかかった費用を、使用期間にわたって分割して費用として計上していく会計処理です。固定資産は長期にわたって使用されるため、購入時に全額を経費にするのではなく、使用する期間に応じて少しずつ費用として計上していく必要があります。

● なぜ減価償却を行うのか?

例えば、100万円の機械を購入して10年間使うとしましょう。この機械は、買った年だけでなく、翌年以降も利益を生み出します。そのため、100万円を一度に経費にするのではなく、10年間にわたって分割し、毎年10万円ずつ経費として計上する(=減価償却)ことで、収益との対応関係が保たれます。

このようにして、固定資産の価値が年々減少する様子を、会計帳簿に反映させていくのが減価償却の役割です。


固定資産と減価償却の関係

では、固定資産と減価償却の関係を整理してみましょう。

● 固定資産=減価償却の対象

固定資産のうち、使用により価値が減っていく資産は、減価償却の対象となります。つまり、建物や機械、車両などがそれに該当します。逆に、土地のように価値が減らないとされるものは減価償却しません。

● 減価償却は固定資産の「費用化」

減価償却は、固定資産を購入したときの支出を、会計上の費用(減価償却費)として段階的に計上する方法です。これにより、資産が持つ価値の減少を、損益計算書に反映させることができます。

● 減価償却によって利益が適正に計算される

固定資産を購入した年度にすべてを経費にしてしまうと、その年だけ大きな赤字になり、翌年以降は不自然に利益が大きくなるという状況が発生します。減価償却によって費用を分散させることで、各年度の利益を適切に算出できるのです。


減価償却の方法と耐用年数

減価償却にはいくつかの方法があります。主なものを紹介します。

● 定額法(主に中小企業や青色申告者)

資産の耐用年数にわたって、毎年同じ額を償却していく方法。たとえば耐用年数が5年の資産を100万円で購入した場合、毎年20万円を減価償却費として計上します。

● 定率法(初年度に多く償却する)

資産の帳簿価額に一定の率をかけて償却していく方法。初年度に多く、年々少なくなっていくのが特徴です。

2024年現在、法人では原則として定額法が採用されており、個人事業主も選択制となっています。

● 耐用年数とは?

「耐用年数」とは、その資産を通常使用できると見込まれる年数を意味し、税法によって資産の種類ごとに定められています。例えば、パソコンは4年、乗用車は6年、建物は構造により22年~50年程度とされています。


実務での注意点

● 固定資産台帳の整備

減価償却を正しく行うためには、「いつ」「いくらで」「どんな資産を」購入したかを正確に記録することが重要です。そのために必要なのが固定資産台帳です。税務調査でもチェックされやすい部分なので、必ず整備しておきましょう。

● 少額減価償却資産の特例

青色申告をしている中小企業者・個人事業主は、取得価額が10万円以上30万円未満の資産について、年300万円を限度として一括で経費にできる特例(少額減価償却資産の特例)があります。事務効率化に大きく寄与します。


まとめ:固定資産と減価償却はワンセットで理解しよう

  • 固定資産とは、1年以上にわたって使用される事業用資産。
  • 減価償却とは、固定資産の価値を費用として分割計上する会計処理。
  • 固定資産を購入したら、耐用年数に応じて減価償却するのが基本。
  • 減価償却により、利益計算がより正確になり、税務上も適正に評価される。

固定資産と減価償却は、事業を行ううえで切っても切れない関係です。特に法人や個人事業主は、毎年の決算や確定申告に関わる重要な論点でもあるため、しっかりと理解しておきましょう。

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